空前絶後!「春日大社 千年の至宝」展

1月17日からスタートした特別展「春日大社 千年の至宝」(東京国立博物館 平成館)には、どうやら、貴重な刀剣や甲冑も展示されるらしい!


ということで、小和田泰経先生磯部深雪さん遠藤ほろよい戦国王チーム3人は、ゲストに「神社人」の東條英利さんを迎えて内覧会に参加してきました!

左:小和田泰経 中:磯部深雪 右:東條英利

東條英利(とうじょう ひでとし)
一般社団法人国際教養振興協会 代表理事、神社ライター
社会起業家を希求し、独立の道を歩みながら、日本型社会事業の在り方を模索。教養力の再生が真のグローバリズムに求められるとして、日本文化・伝承の源泉となる神社・神道を学ぶ仕組み作りとして、神社人を起案し、各種講演、執筆活動を展開している。


春日大社は2016年に、約20年に一度、社殿の建て替えや修繕を行う「式年造替(しきねんぞうたい)」を終えたばかり。なんと今回はちょうど60回目だったのだそうです。


大きな節目ということで、めったに拝観することができない、御神宝の数々が上野へ集結!


展覧会の概要を紹介してくれた、東京国立博物館の土屋主任研究員が

「空前絶後」と2度言っちゃうくらい、貴重な機会なのだそうです!


250点の出展品のうち、100点以上が国宝もしくは重要文化財というのですから、興奮もつのります!


いざ、会場へ!


いつも、東京国立博物館 平成館の正面エスカレーターはテンションあがりますね♪

さっそく、東條さんに春日大社についてお聞きしました。


東條「春日大社に祀られている武甕槌命(たけみかづちのみこと)天孫降臨てんそんこうりん)の物語に登場します」


天孫降臨とは、天の国、高天原(たかまがはら)天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、地上の国、豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに)に神々を派遣して従え、天孫の邇邇藝命(ににぎのみこと)が地上に天降ったという記紀神話の物語です。


地上へと派遣された天の神こそ、武甕槌命(たけみかづちのみこと)だったとか。


東條「はじめはお父さん(伊都之尾張神(いつのおはばり))のもとへ天迦久神(あめのかく)という“鹿”の神様が使者として向かいましたが、子の武甕槌命(たけみかづち)が地上へ派遣されることになりました」


地上へ降りた武甕槌命(たけみかづちのみこと)は、反対する建御名方神(たけみなかた)との力比べにも勝ち、「天孫降臨」の地盤固めをし、「国譲り」を実現した神様なのだそうです。


武甕槌命(たけみかづちのみこと)はその後、今の茨城県の鹿島から、奈良の御蓋山(みかさやま)の山頂に降臨したとされています。


東條「「鹿島アントラーズ」で良く知られている鹿島から、御蓋山(みかさやま)へは、「神鹿」に乗ってやってきたとされています。

今、奈良公園にいる鹿たちは、この「神鹿」の子孫とされているんですよ」


東條「江戸川区に「鹿骨町(ししぼねちょう)」という地名がありますけど、ここは、この移動中に死んでしまった神鹿の一柱をそこに葬ったというのが地名の由来になっています」


都内にも縁の地があったんですね。


ということで、鹿の神様、天迦久神(あめのかく)との関係や、神鹿に乗ってやってきたとされることから、春日大社ではたくさんの「鹿」モチーフの品々が見られます。

今回の展示では、鹿の姿が描かれている作品には鹿マークが。

なかには、どこに描かれているのか分かりづらいものも。

磯部さん、泰経先生もウォーリーばりに鹿探しをしていました。

みなさんも、是非、何頭の鹿を見つけられるか挑戦してみてください。


それにしても、本当にすごい宝物の数々。


東條「藤原氏の氏神ですからね。平安時代以降っていうのは、けっこう藤原氏がつくったルールのもとにあるんですよ」


藤原氏といえば、藤原道長が「この世はみんな僕のためにある。満月並みに満足だぜ」っていう感じの歌を歌っちゃうくらい、勢力を持っていたイメージはありますが・・・


藤原氏の始祖は大化の改新を成し遂げた中臣鎌足(なかとみのかまたり)

宮中で勢力を伸ばした藤原家は、天皇に代わって政治を行なったり、天皇家の政治の相談役となったりする摂政・関白の地位を独占しました


※天孫降臨の際に、天照大御神(あまてらすおおみかみ)天児屋根命(あめのこやねのみこと)によって約諾が交わされる神話がありますが、これは、天照大御神の神裔である天皇家を、天児屋根命の神裔である関白藤原家が補佐するという考えがみられるとか。(※「特別展 春日大社 千年の至宝」図録P14 花山院 弘匡 宮司「春日大社 千三百年の歴史と信仰」より)


阿修羅像で人気の興福寺(こうふくじ)(奈良・奈良市)も藤原家の氏寺です。


遠藤「じゃあ、春日大社も興福寺も相当な神社、お寺だったんでしょうね。今もすごいですけど」


小和田「春日大社のあるあたりは、守護がいないからね。そういうところ、多くないんじゃないかな。それだけ力があったということですね。」

 ※守護:鎌倉幕府・室町幕府が国に設置した行政官。


磯部さんが食い入るように見ているのは、今回の目玉のひとつ、《国宝 金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)》。


金と螺鈿細工をふんだんに使用した拵えは、ほんとうに豪華。

全体は金粉が密に蒔絵され、螺鈿には、色ガラスが併用されているとか。

当時の色ガラスって、宝石並みなのでは・・・!?


2016年に行われた第60次式年造替では、人間国宝の職人さんたちが集結して、この太刀の復元事業が行われました。


調査では、メッキだと思われていた金の部分も、金無垢だということが判明。

《国宝 金地螺鈿毛抜形太刀》(部分)平安時代・12世紀
春日大社蔵
1/17(火)~2/19(日)


鞘部分には、「竹に猫と雀」の意匠が施されています。

《国宝 金地螺鈿毛抜形太刀》(部分)平安時代・12世紀
春日大社蔵
1/17(火)~2/19(日)


当時、この画題は、中国大陸の国「宋」で流行していたものだとか。

《国宝 金地螺鈿毛抜形太刀》(部分)平安時代・12世紀
春日大社蔵
1/17(火)~2/19(日)


つまり、当時最新・最高の技術で、最先端の流行を取り入れてつくり上げられているのだそうです。


雀を捕まえる猫ちゃんは絶対見てくださいね。かわいいです。


ちなみに、平安時代後期の左大臣、藤原頼長(よりなが)は、猫の法要をするほどの猫好きだったとか。

奉納者かどうかは定かではないそうです。


さて、じっくりと鑑賞する一同。


限られた内覧会の時間の中で、甲冑・刀ゾーンに辿りつけるのでしょうか・・・。


お読み頂きありがとうございました。

続きはまた明日更新します!


特別展「春日大社 千年の至宝」

2017年1月17日(火)~3月12日(日)

※会期中に展示替があります。

東京国立博物館 平成館(東京・上野公園)


開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日

お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

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