驚くほどの至宝の数々を所蔵している静嘉堂文庫美術館さんが、また、
スゴイ展覧会を企画してくれました。
所蔵の刀剣を大放出しての「超・刀剣入門~名刀でわかる・名刀で知る」と名付けられた展覧会です!
すでに行かれた方も多いでしょうか?
今回は、ほろよい戦国王でお馴染みの、磯部深雪さんと、「普咲刀剣プロモーション」の方とご一緒し、お邪魔してきました~!
今回展示される刀剣は30振り
全て静嘉堂文庫美術館のコレクションです。
国宝1振り、重文8振りの指定品全てが一堂に展示されます。
こんな機会、今後あるのか!?
という貴重な展示です。
ちなみに、静嘉堂文庫美術館が所蔵している刀剣は120振りほどあるそうで、多くは三菱二代社長・岩﨑彌之助とその子供で四代目社長・岩﨑小彌太が収集したものだそうです。
三菱の創始者・岩﨑彌太郎の弟だった彌之助含め、土佐藩主・山内家
の武士だったことから、
今回のサブタイトルは
「サムライ・ビジネスマンが集めた日本刀」だとか。
まず最初に出迎えてくれるのは、松本楓湖による《蒙古襲来・碧蹄館図屏風》6曲1双、明治28年(1895)です。
明治期に日本と中国が戦った「日清戦争」の頃に描かれたこちらは、国威発揚の意図が感じられるそうです。
前期展示は《蒙古襲来図》。詳細に描かれた武具に興味がそそられます。こちらは会期中に、対となる《碧蹄館図》に展示替えされる予定です。
見逃していけないのが、入り口近くにある刀剣の展示です。
こちらは、彌之助が青年時代に腰にしていたという刀。
なんと、塾生時代、口論の末の喧嘩で斬りかかられ、この刀で防いだそうで、よく見ると鍔から15センチくらいのところに切り込み傷が残っています。
展示室に入ると、まずは太刀と刀の違いの解説から。
初心者にも分かりやすい展示になっています。
続いて、国宝・重文の刀剣が、早速ずらり。
「押形」という、刀の拓本のようなものも一緒に展示されていますが、こうした展示は珍しいとか。
ライティングがきれいなので、刃文も良く見えます。
ちなみに、刃文って、刃先の白くなっているところかと私は思っていました・・・
光を当てたときにきらりと特に光る線の部分を言うんですね。
みなさん、可能な範囲で屈んだり覗き込んだりして、いろんな角度で見て見てください。
刃文が見える角度、刀の肌が良く見える角度を探りながらじっくりみていくと、一振り一振り、全く違う表情をしていることが分かります。
やはり《国宝 「手搔包永太刀(てがいかねながたち)」》は必見!
《国宝 「手搔包永太刀」》鎌倉時代(13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】
手搔包永は、大和手搔派の祖。奈良東大寺の転害門(てがいもん)前に住んでいたとされます。
700年以上の時を超える名作です。
《附 菊桐紋糸巻太刀拵》江戸時代(18~19世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】
続く展示では「五ヵ伝」を見較べることができます。
「五ヵ伝」とは、山城、大和、相州、備前、美濃の五つの地域の鍛刀技法を指します。
学芸員さんの解説によれば、刀剣がつくられた地域としてはおそらく奈良が最も古いそうです。
寺社が多いこの地域。寺に伝わる宝物を守るために僧兵や武士も多く、そうした人に提供していたとか。
そして、最後のゾーンには、戦国武将ゆかりの刀剣が!
こちらは織田信長が滝川一益に与えたとされる、《重文 古備前高綱太刀(号「滝川高綱」)》です。
《重要文化財 「古備前高綱太刀(号「滝川高綱」)」》鎌倉時代(12~13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】
記録類には残っていないそうですが、武田勝頼を討伐した褒美だったとも。
拵は、信長が好んだとされる朱鞘で、織田家の家紋の木瓜紋と桐の紋が入っています。
足利義昭を擁して上洛した信長は、永禄11年、義昭を将軍職につけた年に桐の紋の使用許可を得たそうです。
《附 朱塗鞘打刀拵》桃山時代(16世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
【全期間展示】
他にも、秀吉から直江兼続に贈られた刀剣、加賀藩前田家に伝わった刀剣などなど。
こうしてみると、刀剣っていろんな鑑賞方法があることに気が付きます。
まずは、歴史上の人物が所蔵していたという浪漫。
そして、美術品としての面白さ。
形はもちろん、刃文や肌目の見方を少しでもおぼえると、刀身に様々な景色があることが分かります。
さらに、時代や地域を映す優雅さや武骨さ・・・。
今回の展示では、そうした姿や刃文、地鉄の見方の解説も丁寧にされています。
各地の刀剣展示を見ている普咲さんも絶賛のライティングと展示で、刀剣鑑賞に目覚めてください!
普咲刀剣プロモーションによる内覧会レポはこちらから!!
刃文の見やすい高さなどもチェックしてくれています。
超・日本刀入門 ~名刀でわかる・名刀で知る~
2017年1月21日(土)~3月20日(月・祝)
静嘉堂文庫美術館
<休館日>月曜日(3月20日は開館)
開催時間:午前10時~午後4時30分(入場は午後4時まで)
0コメント